研究会紹介

会長挨拶

渡部 茂

DrWatanabe2000年に児童虐待防止法が制定されて以来、児童虐待防止に向けた取り組みが国・地域レベルで整備されてきました。その結果虐待の報告例は毎年右肩上がりで増え続け、2014年度厚生労働省発表による児童相談所での相談処理数は、年間6万件を超え、虐待で死亡した子どもの数は1000人を超えました。また被虐待保護児童の調査では、親からの暴力を「自分が悪くてしかられた」と感じている子どもが多く、「これは暴力だ」と感じる割合が50%に達するのは17歳になってからとの報告がみられます。数の上からも悲惨な状況からも、子ども虐待は子どもの世界では今最も大きな社会的問題と提起されています。この子ども虐待・ネグレクトは、ヒトが家族を作って生活を営む以上、過去には「せっかん」として在り、現在もそしてこれからも、生活の垢の一部として在り続けるであろうといわれています。であるならば、その撲滅対策には、個人あるいは家庭単位に及ぶきめ細かな体制を構築する必要性が求められています。

本研究会の研究課題は、虐待・ネグレクトに関する歯科学的な分析、生活環境を包括した日常診療の構築、 口腔健診の意識改革、学校・幼稚園・保育所歯科健診の有効活用、事後支援のための歯科治療ネットワークの構築、障害・病気を持った子への対策 等山積しています。その基本的理念は、歯科医療を単なる疾患の予防や治療として定義するのではなく、ヒトの生活や健康を口腔の状況から診断する医療へと拡大し、歯科医療が人々の生活環境を守る番人として機能するためのEBMを確立しようとすることにあります。

道のりは遠くとも、多くの人々が手を取り合い、この世界から虐待・ネグレクトをなくしていきましょう。

研究課題

  1. 虐待・ネグレクトに関する歯科学的な分析
  2. 生活環境を包括した日常診療の構築
    • 口腔環境と生活環境の関係についての歯科学的な分析
  3. 口腔健診の意識改革
    • 口腔健診の歯科医への教育、精度改革
  4. 学校歯科健診、幼稚園・保育所歯科健診改革
    • 校医(園医)と学校(幼稚園)との有機的な関係構築
    • 学校・幼稚園・保育園での口腔健診のあり方、方法、健診結果の分析
    • 口腔の健康を学校教育の一環として扱うことへのEBMの確立
  5. 事後支援のための歯科治療ネットワークの構築
    • 保護施設での歯科的支援
  6. 虐待・ネグレクト関連事項を、子どもに教育するための教材の作成
  7. 障害・病気を持った子への対策

役員一覧

会長 渡部  茂(明海大学名誉教授)
副会長 森岡 俊介(森岡歯科医院院長、東京歯科大学臨床教授、元日本歯科医師会理事)
香西 克之(広島大学大学院医歯薬保健学研究院小児歯科学分野教授)
理事 稲葉 大輔(岩手医科大学歯学部予防歯科学准教授)
井上 美津子(昭和大学名誉教授)
岩原 香織(日本歯科大学生命歯学部歯科法医学講座准教授)
岡崎好秀(国立モンゴル医科大学 客員教授)
北村義久(奈良県さわやか歯科理事長)
佐藤 哲郎(さとう歯科医院院長、神奈川県歯科医師会理事)
佐野 正之(富山県あすなろ歯科医院院長)
白川 哲夫(日本大学歯学部小児歯科学講座教授)
杉山 精一(医療法人社団清泉会 杉山歯科医院院長
都築 民幸(日本歯科大学生命歯学部歯科法医学講座教授)
仲野 道代(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児歯科学分野教授)
羽根司人(はね歯科医院院長、三重県歯科医師会副会長)
平田創一郎 (東京歯科大学社会歯科学講座教授)
前田隆秀(日大松戸歯学部名誉教授)
宮城  敦(神奈川歯科大学特任教授(障害者歯科学))
山崎一男(東京都歯科医師会会長)
吉田 美香(奈良県さわやか歯科院長、橿原市歯科医師会理事)
加藤尊巳(神奈川県タカミ歯科院長)
川越元久(神奈川県川越歯科医院院長)
坂本眞理子(東京都元代々木歯科医院院長)
仲野和彦(大阪大学大学院歯学研究科口腔分子感染制御学講座)
監事 山崎 健次(千田町歯科クリニック院長、広島県歯科医師会副会長)
顧問 川崎 二三彦(子どもの虹情報研修センター長)
長尾 正崇(広島大学大学院医歯薬保健学研究室教授)

研究会規約

「日本子ども虐待防止歯科研究会 規約」を開く PDF形式(126KB)